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アブラガニ (Blue King Crab)

Paralithodes platypus

アブラガニ (Blue King Crab)

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産

分布:ベーリング海(北部沿海)、アラスカ湾、カムチャッカ半島(東西両岸)、千島北半沿海、オホーツク海、日本海、北鮮沿海 <水深70~180m 海水域>

アブラガニはタラバガニ属のカニ。厳密にいえばカニではなく、ヤドカリ下科に属する、貝の殻に入る必要のなくなった巨大化したヤドカリのような生き物だ。
本種は残念な事にタラバガニの偽物というレッテルをはられている。
それくらいアブラガニとタラバガニはよく似ていて、過去にアブラガニをより高価なタラバガニと偽って販売していた業者があったようだ。
両種を一度づつ食べた事があるが、記憶の範囲内ではそれほど差があるように思えない。高いからか若干タラバガニの方が美味しかった気がするが、同時に食べたわけではないので曖昧だ。
今はインターネットで北海道の業者からカニを簡単に取り寄せる事ができる時代。そのため高価なタラバガニの情報はインターネットにあふれている。そこでよく目にするのがアブラガニの情報。しかし、活のアブラガニを販売しているところは非常に少ない。今回は運よく活のアブラガニを購入することができた。実に3年間探していてやっとみつけた。

アブラガニオスの腹面

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニオスの腹面

アブラガニオスの腹面。
普通カニのオスの尾部は細長いのが特徴だが、アブラガニではオスも丸い形をしている。

アブラガニオスの腹面

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニオスの尾部

アブラガニオスの尾部。
尾部には沢山の中腸腺がつまっている。尾部は思ったよりも柔らくぶよぶよとした感触。
ヤドカリの仲間の柔らかい尾部が進化したという事が想像できる。

アブラガニの額角

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの額角

アブラガニの額角。
額角の左右に1対の棘がみられる。
タラバガニの額角にはこれがみられない。

アブラガニの甲面心域にある棘

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの甲面心域にある棘

カニの仲間の甲はいくつかの部位に分かれるが、中央にある部位を心域という。
ここにある棘の数を数える事で、素人でもタラバガニとアブラガニを見分ける事ができる。
アブラガニの棘は4つ、タラバガニの棘は6つであることが多い。
ちなみに写真の個体は棘が4つに加えて小さな棘が1つ確認できる。これはごく稀にみられる例外にあたる。

アブラガニの鉗脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの鉗脚

タラバガニ科の種がヤドカリ類から進化したという証拠は鉗脚にもみられる。
巻貝の殻に入るヤドカリ類は右側の鉗脚を大きくし、身の危険を感じ殻に入ったときに蓋の代わりとして使う。
そのなごりは残っていて、タラバガニ科の種も右側の鉗脚が大きくなっている。

アブラガニの右鉗脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの右鉗脚

アブラガニの右鉗脚。
大きく見るからに力が強そうだ。恐らく貝殻などの硬い餌をを破壊するのに使用しているのだろう。

アブラガニの左鉗脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの左鉗脚

アブラガニの左鉗脚。
左右の鉗脚は大きさが違うだけではない。その形状も異なっていて、用途も異なっていることを想像させる。
左鉗脚はトングのようになっていてものをつかんで口に運ぶのに適している。また柔らかいものを引きちぎるのにも都合がよさそうだ。

アブラガニの青い色素

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの青い色素

アブラガニは英語でBlue King Crabと呼ばれる。
タラバガニがRed King Crab(赤いキングクラブ)なら本種は青いキングクラブ。
最も青くなるのは鉗脚。
これは加熱すると赤くなってしまうので青いか青くないかでタラバガニと見分ける方法は加熱する前でないと使えない。

アブラガニの歩脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの歩脚

アブラガニの歩脚。
写真ではそれほど青みが感じられないが、角度によって青く見える。

アブラガニの歩脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの歩脚

アブラガニの歩脚の腹側。
一様に白いのが特徴。タラバガニは腕節・前節・指節と呼ばれる先の3つの節に色素がみられることが多い。

アブラガニの第5歩脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの第5歩脚

アブラガニを含むタラバガニ科の種は4対の歩脚しかみられない。しかし実際にはちゃんと5対の歩脚を持っていて、甲の中に隠れている。
写真は甲の中の第5歩脚を外に出したもの。
この脚は甲の中でエラを掃除したりとメンテナンスに活用されている。

アブラガニの側面

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの側面

アブラガニの側面。
他のカニ類に比べると著しく体高が高い。

アブラガニの眼

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの眼

アブラガニの眼。
これほど大きな体を持っているというのに、目は非常に小さい。
そして基部がひっついていて眼がとなり同士にある。
この顔はカニではなくヤドカリそのもの。

アブラガニの顔

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの顔

アブラガニの顔。
これだけ見ると何の生き物かよく分からない。

アブラガニの口

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの口

アブラガニの口。

鍋に入らないアブラガニ

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■鍋に入らないアブラガニ

業務用の大きな窯家庭用の鍋で丸ごと調理するのは難しい。

アブラガニの脚

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■アブラガニの脚

鍋に入らないのでキッチンバサミを使って脚を外して蒸す事にした。
角度を変えて撮影すると青みが強くみえる。

熱によって赤くなったアブラガニ

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■熱によって赤くなったアブラガニ

熱によって赤くなったアブラガニの甲。
アスタキサンチンという赤い物質が加熱によってカニ内のたんぱく質から分離したために赤くなる。

熱によって赤くなったアブラガニ

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■熱によって赤くなったアブラガニ

加熱された事により赤くなったアブラガニの歩脚。

熱によって赤くなったアブラガニ

<甲幅16.0cm・1.5kg・オス> 購入 2016.7.10. ロシア産 

■熱によって赤くなったアブラガニ

歩脚の腹側は色素がほとんどないため一様に白い。一方タラバガニは腕節・前節・指節と呼ばれる先の3つの節が赤くなることが多く、加熱後の歩脚だけでもタラバガニとの見分けをすることができる。


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514 ロシア産 ~アブラガニに挑戦!~

 

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