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テナガエビ (Oriental River Prawn)

Macrobrachium nipponense

テナガエビ (Oriental River Prawn)

<10.0cm・鉗脚を含めると18.5cm・オス> カゴ 2006.7.22. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖

分布:日本(本州以南)、韓国、台湾、中国(北部沿岸) <河川河口域から上流域、湖沼 砂礫~砂泥底 汽水域~淡水域>
地方名:かわえび(全国)

テナガエビはその名のとおり手が異常に長いエビ。カニやザリガニ、ヤドカリの仲間は第一歩脚がハサミこと鉗脚となるが、テナガエビ科のエビは第二歩脚が鉗脚となっている。特にオスの鉗脚は長く伸び、体長よりも長くなる。
筆者の住む島根県松江市にある宍道湖では6月頃から沿岸でテナガエビがみられる。夜行性のエビなので、夜に懐中電灯で石積みを照らし、みつけたテナガエビを手網ですくうエビ獲りという遊びが盛ん。
体色は濃緑色~茶褐色の地味な色だが、加熱すると真っ赤になり食欲をそそる色となる。
オスは大きくなり体長10cmほどになるが、メスは小ぶりで体長6cm程度。小さいことと味が薄くあっさりしているので、料理法は素揚げが一番。
殻ごとバリバリ食べてエビの風味を楽しむ。

テナガエビの触角

<10.0cm・鉗脚を含めると18.5cm・オス> カゴ 2006.7.22. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■テナガエビの触角

テナガエビは鉗脚だけでなく触角も長い。基本的にエビの仲間は第一・第二触角が一対づつの計4本の触角をもつ。テナガエビは第一触角が3本に分かれているので計8本となる。
テナガエビはこの触角を盛んに振り回し、周りにあるものを識別する。

背面からみたテナガエビ

<10.0cm・鉗脚を含めると18.5cm・オス> カゴ 2006.7.22. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■背面からみたテナガエビ

背面からみたテナガエビ。第一触角は前方、第二触角は後方を担当して360°周囲をカバーしている。
大きな鉗脚は離れた場所にいる獲物も襲う事ができる。

最大級のテナガエビ

<11.5cm・鉗脚を含めると26.0cm・オス> カゴ 2006.7.13. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■最大級のテナガエビ

体長11.5cm、鉗脚17.0cm、鉗脚を含めた全長は26.0cmにもなるテナガエビのオス。

背面からみた最大級のテナガエビ

<11.5cm・鉗脚を含めると26.0cm・オス> カゴ 2006.7.13. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■背面からみた最大級のテナガエビ

背面からみた最大級のテナガエビ。
鉗脚の長さがすごい。左右の鉗脚の長さに若干差があるよう。
これほどまで大きいものはなかなかお目にかかれない。

テナガエビの額角

<11.5cm・鉗脚を含めると26.0cm・オス> カゴ 2006.7.13. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■テナガエビの額角

テナガエビの額角。
エビの仲間を見分けるときによく使われるのが額角と呼ばれる眼と眼の間にある角。
ここの歯の数が見分けのポイントになることがある。
本種の額角の歯は上が10~17、下が3~5。
写真の個体は上が14、下はちょっと隠れているが恐らく3。

テナガエビの頭胸部

<11.5cm・鉗脚を含めると26.0cm・オス> カゴ 2006.7.13. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■テナガエビの頭胸部

テナガエビの頭胸部。
宍道湖にはテナガエビ科のエビがテナガエビ、ユビナガスジエビ、スジエビ、シラタエビの4種生息している。
このうちテナガエビのメスや若エビはユビナガスジエビとよく似ていて見分けが非常に難しい。宍道湖の生態系調査をしていた頃は、一日に数百個体の見分けをしないといけないこともあったので、いかに早く正確に両種を見分けられるか方法を編み出した。それが頭胸部の模様で見分ける方法。

テナガエビの頭胸部の模様

<11.5cm・鉗脚を含めると26.0cm・オス> カゴ 2006.7.13. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■テナガエビの頭胸部の模様

テナガエビの頭胸部の模様を縁取りしてみた。
テナガエビでは「><」や「||」の模様がみられ、それがくっつかずに離れているのが特徴。
一方ユビナガスジエビは、はっきりとした「Y」の模様がみられる。
調査をしていた頃は、この方法をみつけてから各段に見分けるときの時間が短縮された。
異なる種の見分けに使うキーはこのように普段から何個体もの見分けをしているうちに自然と身につくもので、1個体ずつを比較してみつかるものでもない。

テナガエビのメス

<8.0cm・メス> カゴ 2004.9.9. 島根県/松江市/西尾町/剣先川 

■テナガエビのメス

テナガエビのメス。
鉗脚が大きくならないのが特徴。

抱卵したテナガエビのメス

<8.5cm・メス抱卵個体> カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■抱卵したテナガエビのメス

抱卵したテナガエビのメス。

テナガエビの卵

<8.5cm・メス抱卵個体> カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■テナガエビの卵

卵は腹肢の間で保護されている。

テナガエビメスの腹部

<8.5cm・メス抱卵個体> カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■テナガエビメスの腹部

テナガエビメスの腹部。
白い縁取りをされていることもある。

水中のテナガエビ

2014.7.30. 島根県/出雲市/湖陵町 

■水中のテナガエビ

テナガエビは遊泳性ではなく底生性。危険が迫ると泳いで逃げるが、基本的には岸辺の石組みの回りでみられることが多い。

水中のテナガエビ

2005.7.21. 島根県/簸川郡/斐川町/宍道湖 

■水中のテナガエビ

水中のテナガエビ。
テナガエビは汽水域でよくみられる。
汽水域は栄養塩が豊富な水域。水中のコロイド粒子も多いため一般的に透明度は低い。
テナガエビはこのように濁った水の場所でみられることが多い。

好奇心旺盛のテナガエビ

2008.7.9. 島根県/出雲市/園町/平田船川 

■好奇心旺盛のテナガエビ

水中調査をしていてテナガエビをみつけるとき、驚いてすぐに逃げる個体もいるが、写真の個体のように近づいてくるものもいる。
いつでも逃げられるように間合いを取りながら長い触角でこちらの様子を探っている。

テナガエビのメス

2008.7.16. 島根県/松江市/東本町/大橋川 

■テナガエビのメス

テナガエビのメス。ユビナガスジエビとよく似ている。
上記の見分け方を知っていると水中でも見分けることが出来る。

カゴ漁でテナガエビを獲る

2004.9.3. 島根県/松江市/西尾町/剣先川 

■カゴ漁でテナガエビを獲る

宍道湖周辺には竹を細く切ったものを編み上げたカゴ漁がある。これは石の隙間などに隠れるのが好きな生物を漁獲するためのもの。
ウナギやテナガエビを狙ってしかけられることが多いが、ユビナガスジエビ、ヌマチチブ、シモフリシマハゼなどもよく漁獲される。

カゴ漁で漁獲されたテナガエビ

カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■カゴ漁で漁獲されたテナガエビ

カゴ漁で漁獲されたテナガエビ。

カゴ漁で漁獲されたテナガエビ

カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■カゴ漁で漁獲されたテナガエビ

カゴ漁で漁獲されたテナガエビ。
写真からも分かるように、底を歩くように移動する。危険が迫ると腹部を瞬時に折り畳み、水流を発生させて後ろ方向に素早く逃げる。

カゴ漁で漁獲されたテナガエビ

カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■カゴ漁で漁獲されたテナガエビ

カゴ漁で漁獲されたテナガエビ。この大きさで最大級。手と比べるとその大きさがよく分かる。
細長い鉗脚は一見力がなさそうだが、はさむ力は意外と強く、「あいたた!」と思わず手を振ってしまうような痛さ。流血することもあるので甘くみてはいけない。

塩ゆでされたテナガエビ

カゴ 2005.5.31. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■塩ゆでされたテナガエビ

生時は褐色のテナガエビだが、加熱すると驚くくらい赤くなりとても美しい。
宍道湖畔の夏のごちそうのひとつだ。
味が薄く可食部も少ないので、塩ゆでよりは素揚げにして塩を振って食べる方がおすすめ。ビールが進む味だ。


写真提供

宍道湖と中海の魚たちボードゲーム
宍道湖と中海の魚たち
P130,131

 

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