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トゲノコギリガザミ (Green Mud Crab)

Scylla paramamosain

トゲノコギリガザミ (Green Mud Crab)

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産

分布:日本(南西諸島)、中国、台湾、香港、ベトナム、カンボジア、シンガポール、マレーシア、インドネシア
地方名:どうまんがに(静岡県)、どてほり(兵庫県)

ノコギリガザミ属のカニは世界に4種存在し、日本にはそのうち3種生息している。
この3種(アミメノコギリガザミ、トゲノコギリガザミ、アカテノコギリガザミ)は、かつて1種だと思われていたくらい良く似ている。それに加えてどれも日本では希少な為、目にする機会が非常に少ない。一般の方が見分けるのはかなり難しいカニだろう。
初めて香港の干潟を訪れた際、泥にくぼみをつくってじっとしているカニの姿をみつけた。
近寄ってみると脱皮直後のノコギリガザミ属のカニであった。ふと頭をよぎったのは同定できるだろうかという不安だったが、鉗脚が赤くなっていたこと、額の棘の形でアカテノコギリガザミだと同定した、しかし後日誤同定だということが分かり、トゲノコギリガザミに登録しなおした。アカテノコギリガザミの遊泳脚には網目模様が現れない事が決め手のようだ。やはりノコギリガザミ属は難しいと再認識。
静岡県浜名湖ではノコギリガザミ属を総称して「どうまんがに」と呼び、ある程度出荷できるほどの漁獲高がある。
オスのどうまんがにを取り寄せて食べてみたが、身はプリプリで甘く、カニの中でもトップクラスの美味しさ。
中国では本種が養殖されており、価格は高いものの香港や中国の海鮮レストランで食べることができる。

トゲノコギリガザミオスの腹面

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミオスの腹面

トゲノコギリガザミオスの腹面。
通称ふんどしと呼ばれる腹部は細長い。

トゲノコギリガザミの遊泳脚

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの遊泳脚

トゲノコギリガザミの遊泳脚には網目模様がある。
ノコギリガザミ属3種のうち、遊泳脚に網目模様があるのは本種とアミメノコギリガザミの2種。

トゲノコギリガザミの額

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの額

トゲノコギリガザミの額にある4つの歯。
この部分の特徴でノコギリガザミ属3種を見分けられるとしている情報もあるが、かなり難しいように思える。
wikipediaでは本種の歯は正三角形状とあるが、筆者の撮影したアミメノコギリガザミの方が上記の特徴に当てはまる。ちなみにアミメノコギリガザミの歯は鋭く尖り二等辺三角形状とあり、逆に本種の特徴と合致する。

トゲノコギリガザミの眼

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの眼

トゲノコギリガザミの眼は赤い色をしている。

トゲノコギリガザミの鉗脚

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの鉗脚

トゲノコギリガザミの鉗脚。
鉗脚は強大で非常に強い力がある。

トゲノコギリガザミの鉗脚

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの鉗脚

トゲノコギリガザミの鉗脚。
1歳児の手とその大きさを比較してみた。

トゲノコギリガザミの鉗脚

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの右鉗脚

トゲノコギリガザミの右鉗脚。内側から撮影した。
トゲノコギリガザミの鉗脚は右と左で形状が異なり、役割も異なる。
右は硬いものを砕くのに使われる。人間でいうと奥歯だ。可動指の付け根には大きなコブがある。

トゲノコギリガザミの鉗脚

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの左鉗脚

トゲノコギリガザミの左鉗脚。内側から撮影した。
トゲノコギリガザミの鉗脚は右と左で形状が異なり、役割も異なる。
左はものを切り裂くのに使われる。人間の歯でいうと前歯だ。指の先端は交差している。

トゲノコギリガザミの鉗脚腕節の歯

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■トゲノコギリガザミの鉗脚腕節の歯

トゲノコギリガザミの鉗脚腕節の歯。
腕節というのはハサミの次にある節のこと。
この端にある歯の形状でノコギリガザミ属3種を見分ける事ができる。
上から順に1・2・3と番号をつけると、
トゲノコギリガザミでは1が鋭くはっきりしていて、2と3は短く分かりづらい。
アミメノコギリガザミでは1・2・3とも鋭くはっきりしている。
アカテノコギリガザミでは1が鋭くはっきりしているものの、2がなく、3は短く分かりづらい。

出荷用に縛られたトゲノコギリガザミ

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■出荷用に縛られたトゲノコギリガザミ

大きな鉗脚を持ち、ものすごい力のトゲノコギリガザミは、油断すると取扱い中に挟まれて大怪我をすることがある。
浜名湖では漁獲されたらすぐに氷水につけ、動きを鈍らせてこのように縛り上げる。

出荷用に縛られたトゲノコギリガザミ

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■出荷用に縛られたトゲノコギリガザミ

この様に縛られていると無駄な動きをする事がないのでエネルギーの消費を抑えられる。
ということは身に旨みを残す事につながり、結果として味が落ちにくくなる。

香港の海鮮レストランで提供されるトゲノコギリガザミ

2015.12.13. 香港/新界/西貢 

■香港の海鮮レストランで提供されるトゲノコギリガザミ

香港の庶民にとって、ご馳走といえば新鮮な海鮮料理。生簀で活かせた魚介類を料理してくれる海鮮レストランは多くみられる。
その中でもノコギリガザミ類は高価な食材。

中国広東省の海鮮レストランで提供されるトゲノコギリガザミ

2016.8.17. 中華人民共和国/広東省/汕尾市/海豊県 

■中国広東省の海鮮レストランで提供されるトゲノコギリガザミ

中国広東省のレストランでみつけたトゲノコギリガザミ。サイズがそろっており、数も多い事から養殖ものだと考えられる。
中国ではノコギリガザミ類の養殖も行われている。

加熱後のトゲノコギリガザミ

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■加熱後のトゲノコギリガザミ

加熱後のトゲノコギリガザミは、アスタキサンチンという赤い物質がカニ内のたんぱく質から分離して真っ赤になる。
一様に赤く色づき本当に美しい。食欲をそそる色だ。

蒸したトゲノコギリガザミ

<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖産 

■蒸したトゲノコギリガザミ

カニを失敗することなく美味しく味わう料理法と言えば蒸し蟹だろう。
熱々の蟹の脚をもぎ取って食べ、最後はお楽しみの肩の身を味わう。
トゲノコギリガザミはカニ特有の臭みは少なく、むしろ甘い香りがする。味はさっぱりしているが甘い。いくらでも食べられそうな極上の1品。

焼きトゲノコギリガザミ

2015.12.13. 香港/新界/西貢 

■焼きトゲノコギリガザミ

香港の海鮮レストランで選んだトゲノコギリガザミ。多くのレストランでは料理法を指定するとその場で調理してくれる。
塩を盛って焼いたトゲノコギリガザミは最高の味だった。

蒸しトゲノコギリガザミ

2017.6.8. 中華人民共和国/広東省/汕尾市/海豊県 

■蒸しトゲノコギリガザミ

広東省のレストランで食べた、蒸しトゲノコギリガザミ。
ほんのりと味がついていたので、鶏がらスープで蒸したのかなと思った。
それにしても本種の鉗脚の美味しさは異常だ。口いっぱいに甘味の強いカニの旨みが広がり、プリプリの食感がまた楽しい。

脱皮中のトゲノコギリガザミ

2016.6.25. 香港/元朗区/下白泥 

■脱皮中のトゲノコギリガザミ

香港のマングローブ林の泥底にくぼみをつくって脱皮していたトゲノコギリガザミ。
脱皮直後が殻が柔らかく、鳥などに見つかればひとたまりもないだろう。かなり大胆な個体だ。

脱皮中のトゲノコギリガザミ

2016.6.25. 香港/元朗区/下白泥 

■脱皮中のトゲノコギリガザミ

くぼみの中でじっとし、殻が固まるのを待つトゲノコギリガザミ。

脱皮中のトゲノコギリガザミ

2016.6.25. 香港/元朗区/下白泥 

■脱皮中のトゲノコギリガザミ

遊泳脚にも網目模様がしっかりと表れている。
最初にこの個体をアカテノコギリガザミだと誤同定していたが、アカテノコギリガザミの遊泳脚には網目模様がみられない。

トゲノコギリガザミが生息するマングローブ林

2016.6.25. 香港/元朗区/下白泥 

■トゲノコギリガザミが生息するマングローブ林

トゲノコギリガザミが生息する香港のマングローブ林。英名でMud Crabと呼ばれるように泥底の場所でみられた。

トゲノコギリガザミが生息するマングローブ林

2016.6.25. 香港/元朗区/下白泥 

■トゲノコギリガザミが生息するマングローブ林

トゲノコギリガザミがみられたのは軟らかい泥で足が埋まるような場所。

トゲノコギリガザミの鉗脚の威力

2016.9.24. 

■トゲノコギリガザミの鉗脚の威力

トゲノコギリガザミの鉗脚の威力がどれほどすごいのか、ボールペンをはさませてみた。
写真で分かるとおり、ぐにゃっと押しつぶされている。
視覚的にインパクトは低いが、実際に同じ型のボールペンを手に取ってその硬さを確かめてほしい。
恐らくペンチでもこの様に潰す事はできないはずだ。

トゲノコギリガザミの鉗脚の威力

2016.9.24. 

■トゲノコギリガザミの鉗脚の威力

これが指だったと思うとぞっとする。
ペンチ以上の力が加わるという事は指の骨など簡単に砕けてしまうだろう。

 

2016.7.22. 福岡県/北九州市/小倉南区/曽根干潟<オス 甲幅14.0cm 651g> 購入 2016.9.24. 静岡県/浜名湖


眼遊記

590 Haifeng ~トゲノコギリガザミを食らう~
566 Tung Chung Bay ~鳥のエキスパートと回る香港の干潟~
533 浜名湖産 ~幻のどうまん蟹 その味は~
525 Haifeng ~中国の海鮮レストラン~
511 下白泥 ~香港の干潟~
481 西貢 ~香港の海鮮スポット~

 

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