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コイ (Common Carp)

Cyprinus carpio

コイ (Common Carp)

刺し網 2005.2.14. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖

分布:日本(全国)、ヨーロッパ大陸、アジア大陸、アメリカ合衆国(移入)、カナダ(移入) <淡水域>

コイは日本を代表する淡水魚のひとつ。
宍道湖では「宍道湖七珍」と呼ばれる7種類魚介類が有名だが、本種もその中の一つだ。
コイと聞くと赤や白の錦鯉の姿を連想すると思うが、錦鯉はコイを観賞用に品種改良した変種。ドイツで食用に品種改良されたドイツゴイという変種も存在し、人間にとってかなり深い関わりを持った魚であることがわかる。
中国ではコイが滝を登ると龍になるという登龍門という言い伝えがあり、また日本では端午の節句にコイに模した布「こいのぼり」を飾って男子の出世と健康を祈る風習が残っている。広島県のプロ野球チーム、広島東洋カープの名前はコイからとったもの。コイは単なる食料としてみなされているわけではなく特別な魚なのだ。
筆者もコイは相当頭のよい魚だと思っている。潜水調査を行っているときに稀に大ゴイの群れに遭遇することがあるが、彼らは人間の周りをぐるぐる回って何者か調べてくる。自分が別の方へ泳いでいくと、一定の距離をとりながらついてくる。そして何より眼が合った瞬間に、知性を持っているなと感じさせるような特別な眼光を宿している。
2003年から2004年にかけて、日本国内で「コイヘルペスウイルス病」が大流行した。当時の筆者のフィールドであった宍道湖では2005年にコイの大量死が発生。腐って悪臭を放つメーター級のコイの死骸を国交省の水面清掃船が回収して回っていたのを覚えている。
国交省の発表では2005年5月6日~5月24日の19日間だけでも8,007ものコイの死骸を宍道湖・大橋川で回収したとしている。
当時、宍道湖のコイは絶滅したのではと思うほどの被害であったが、幸い今でもコイは宍道湖に生息している。
本種は元々生息していなかった北米にも移入されている。実は北米に移入された最初の魚で、1800年代中ごろにはすでに移入されていたようだ。移入された場所で増えているため、国際自然保護連合(IUCN)の 世界の侵略的外来種ワースト100(100 of the World's Worst Invasive Alien Species)に指定されている。

コイの頭部

刺し網 2005.2.14. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■コイの頭部

2対の口髭を持つのがコイの特徴。

コイの側線

刺し網 2005.2.14. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■コイの側線

コイの体表は大きくしっかりとした鱗が規則正しく配列されている。中央に水平に走っているラインは側線と呼ばれる感覚器官で、水圧や水流の変化などを感知することができる。

正面からみたコイの頭部

刺し網 2006.12.7. 島根県/松江市/宍道湖 

■正面からみたコイの頭部

コイは下向きについており、水草や貝など底に生息する生物を食べるのに適している。分厚い唇も特徴的だ。
これだけ見るとコイには歯がないようだが、喉に咽頭歯と呼ばれる臼状の歯をもっており、硬い貝なども噛み砕くことが出来る。

正面からみたコイの頭部

刺し網 2006.12.7. 島根県/松江市/宍道湖 

■コイの咽頭歯

コイの喉にある咽頭歯。
鰓とひっついており、かなり奥にあるため外から見ることはできないだろう。
まるで人間の奥歯の様に硬く大きな歯。これを使って硬い物でもすりつぶす事ができる。

マス網で漁獲されたコイ

<30.5cm> マス網 2006.3.3. 島根県/松江市/嫁島町/宍道湖 

■マス網で漁獲されたコイ

マス網で漁獲されたコイ。

ドイツゴイと呼ばれる変種

<37.0cm> マス網 2007.2.5. 島根県/簸川郡/斐川町/五右衛門川河口/宍道湖 

■ドイツゴイと呼ばれる変種

鱗が大きく、枚数が少なくなった変わった姿のコイがいる。
これはドイツで食用に品種改良された変種だ。
鱗が少ないのは料理の手間を省くため。またドイツゴイは成長が早い事で知られる。
この個体は宍道湖で漁獲されたもので養殖場のものではない。ドイツゴイと交雑した野生のコイの子孫だろう。こういった変種が自然下に流出してしまうと在来種と交雑し、純粋な在来種がいなくなってしまう恐れがある。こういった事例を「遺伝子汚染」という。

ドイツゴイと呼ばれる変種

<37.0cm> マス網 2007.2.5. 島根県/出雲市/斐川/五右衛門川河口/宍道湖 

■ドイツゴイと呼ばれる変種

交雑が進んだため鱗の枚数は多いが、ドイツゴイの特徴である大きな鱗を持っている。こういったタイプのドイツゴイは鏡鯉(かがみごい)と呼ばれる。
一方、ヨーロッパでは鱗の全くない革鯉(かわごい)とよばれる変種もいるらしい。

全長85cm、9.8kgの大物コイ

<85.0cm 9.8kg> 小袋網 2005.6.8. 島根県/松江市/東本町/大橋川 

■全長85cm、9.8kgの大ゴイ

大橋川で漁獲された、全長85cm、9.8kgのコイ。
滅多にお目にかかれない大物だ。

大ゴイの鱗

<85.0cm 9.8kg> 小袋網 2005.6.8. 島根県/松江市/東本町/大橋川 

■大ゴイの鱗

上の写真の大ゴイの鱗を500円玉と比較してみた。
非常に大きいのがお分かりいただけるだろう。

大ゴイの鱗

<85.0cm 9.8kg> 小袋網 2005.6.8. 島根県/松江市/東本町/大橋川 

■大ゴイの鱗

体表に出ているのはほんの一部分。
見えない部分が非常に大きく、上の写真と比較すると500円玉よりも大きいことがわかる。

今まで見た中で最大のコイ

<107.0cm 18.1kg> 刺し網 2008.12.19. 島根県/松江市/玉湯町/宍道湖 

■今まで見た中で最大のコイ

上の写真の2倍のコイが漁獲された。
重量はなんと18kg。
一体何年生きてきたコイだろうか。重すぎて抱える事ができないので子犬と比較した。

水中のコイ

2008.10.27. 島根県/出雲市/乙立町/神戸川 

■水中のコイ

島根県の神戸川でみた大型のコイ。
大型のコイは好奇心が強くて頭がよく、泳いでいる人間を調べるように周りを回ったり、ついてきたりすることがある。

水族館で展示されるコイ

<飼育個体> 2016.12.4. 島根県/出雲市/宍道湖自然館ゴビウス 

■水族館で展示されるコイ

宍道湖自然館ゴビウスで展示されるコイ。
悠々と泳ぐ大ゴイの表情は知性の高さが現れているよう。

観賞用の変種である錦鯉

<飼育個体> 2008.12.20. 島根県/松江市/八雲町/熊野大社 

■観賞用の変種である錦鯉

美しい色をした錦鯉。もともとコイを観賞用に品種改良したもの。

色々な模様の錦鯉

<飼育個体> 2013.12.28. 島根県/松江市/大垣町/松江フォーゲルパーク 

■色々な模様の錦鯉

錦鯉には様々な模様があるが、ブリーダー達が長年選別し続けた結果生まれた特徴。
単に赤白黒の3色のものだけでなく、金色や真っ白い品種もある。

カナダのスーパーで販売されるコイ

2009.10.29. カナダ/オンタリオ州/トロント 

■カナダのスーパーで販売されるコイ

トロントのアジア系スーパーマーケットの鮮魚売り場で見つけたコイの活魚。
1ポンドあたりの価格は3.99CAD(1ポンド=453g、1CAD=92円。*2015年11月現在)。
アメリカ人は食べないが、中国人が食べるため取扱いがあるのだろう。

コイの活き造り

2006.12.7. 島根県/松江市/宍道湖産 

■コイの活き造り

コイを活きたまま刺身にし、まだ動く頭部と一緒に提供する活き造り。
川魚は臭くて食べられないという先入観があったが、脂ものり臭みはなく、身に甘味があって結構美味しい。

コイの鯉こく

マス網 2006.10.9. 島根県/出雲市/斐川/五右衛門川河口/宍道湖 

■コイの鯉こく

鱗を取らず、輪切りにしたコイを味噌で何時間も煮続けて作った料理を鯉こくという。
昔の日本人にとって鯉こくは栄養満点の料理であり、母乳の出を良くすると言われてきた。
長時間煮る事で鱗も骨も食べる事ができる。

こいのぼり

2009.4.9. 徳島県/三好市/山城町/大歩危 

■こいのぼり

日本では男児の出世と健康を願って、(元来は旧暦の)端午の節句までの雨の日に布や紙で作られたコイを庭先に掲げる風習がある。
こいのぼりの季節になると川一面にこいのぼりを広げる地方もあり、春の風物詩となっている。

コイとキンギョの雑種

<キンギョとの交雑個体 11.0cm> 釣り 2010.7.11. カナダ/オンタリオ州/トロント/Gロスロードパーク 

■コイとキンギョの雑種

カナダのトロントで釣り上げた魚。Ontario Freshwater Fishes Life History Databaseというサイトを運営されているRobert Eakinsさんにみてもらったところ、コイとキンギョの雑種ではないかという答えが返ってきた。

コイとキンギョの雑種

<キンギョとの交雑個体 11.0cm> 釣り 2010.7.11. カナダ/オンタリオ州/トロント/Gロスロードパーク 

■コイとキンギョの雑種

確かに口元をみると口ひげが2対確認できる。しかしギリギリ確認できるほど小さいもので、コイのものとは思えない。


写真提供

宍道湖と中海の魚たちボードゲーム
釣魚1400種図鑑
松江・安来ふるさと大百科
技・家 ハンドブック
P430
P40
表紙,P26,27,28,29

眼遊記

559 宍道湖自然館ゴビウス ~カワヤツメがみれた~
554 宍道湖自然館ゴビウス ~いつ行っても楽しい地元の水族館~
379 松江フォーゲルパーク ~鳥の動物園~
197 島根県東部 ~魚を横撮り~
083 G Ross Lord Park ~泥水でも釣れた~

 

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