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サルボウ (Half-crenate Ark)

Scapharca kagoshimensis

サルボウ (Half-crenate Ark)

<殻長5.7cm> ジョレン曳き 2006.10.17. 島根県/松江市/中海本庄工区

分布:日本(東京湾~有明海)、ロシア(沿海州)、韓国、黄海、南シナ海 <潮下帯上部~水深20mの砂泥底 汽水域>
地方名:あかがい(島根県・鳥取県)、もがい(島根県)

山陰地方の中海周辺で、ほとんどの家庭が冬に1度は必ず食べるという「あかがい」と呼ばれる貝がある。これは寿司などに使われる標準和名アカガイのことではなく、サルボウという標準和名を持った小ぶりの貝の事だ。両種ともサルボウ属に属し、非常に良く似ている。
松江市周辺では酒、醤油、砂糖で甘辛く味付けした煮付けで食べられる。冬になるとスーパーでもネットに入った300g~1kgのサルボウが陳列されているほど身近な二枚貝だ。しかし、その産地を見ると岡山県産や有明海産であり、地元島根県産のサルボウが並ぶことはない。
汽水湖中海にはかつて全国一の漁獲量を誇るほどたくさんのサルボウ生息しており、これを食べる食文化が生まれていったのだろう。しかし、1957年には800トンあった漁獲量が、1962年には0となり今日に至っている(森脇晋平・道根淳(2007)中海における漁獲量変動 島根水技セ研報 1, 41-48より)。中海漁協では2013年より養殖が始められ、わずかながら中海産のサルボウが漁獲されている。
甘辛く味付けされた、プリプリのサルボウは本当に美味しく、一度食べ始めると止まらない。大皿一杯に入れられたサルボウはあっという間になくなってしまうほど。

サルボウの特徴

<殻長3.7cm> 2005.11.7. 島根県/松江市/八束町/中海 

■サルボウの特徴

サルボウやアカガイ、サトウガイなどを含むサルボウ属の貝はどれも良く似ていて、慣れていないと見分けが難しい。
放射肋という、殻の表面にある筋を数えると見分けやすい。サルボウの放射肋は32本前後、アカガイは42本前後、サトウガイは38本前後。

中海産のサルボウ

<殻長4.8cm> ジョレン曳き 2005.3.5. 島根県/松江市/中海本庄工区 

■中海産のサルボウ

中海で採取された天然のサルボウ。
漁業として成り立たなくなってしまった中海のサルボウだが、絶滅は間逃れ細々と生息している。

サルボウの幼貝

<殻長16.8mm> オゴノリ類に付着 2005.11.15. 島根県/松江市/中海本庄工区 

■サルボウの幼貝

オゴノリ類に付着していたサルボウの幼貝。
サルボウの稚貝~幼貝は足糸で海藻などにくっついており、大きくなると着底する。
中海では「もがい」と呼ばれていたが、これは上記の生態から藻につく貝という意味で呼ばれていたのだろう。

サルボウの幼貝

<殻長14.0mm> オゴノリ類に付着 2005.11.15. 島根県/松江市/中海本庄工区 

■サルボウの幼貝

サルボウの幼貝。
幼貝は殻表全体に毛が生える。

揖斐川産のサルボウ

<殻長4.7cm> エクマンバージ型採泥器 2008.6.20. 三重県/桑名市/揖斐川河口 

■揖斐川産のサルボウ

揖斐川河口域で採取されたサルボウ。

有明海産のサルボウ

<殻長4.5cm> 購入 2011.5.8. 有明海産 

■有明海産のサルボウ

スーパーで購入した有明海産のサルボウ。
松江市内のスーパーでは比較的よく見かける産地のひとつ。

愛知県産のサルボウ

<殻長5.5cm> 購入 2014.12.3. 愛知県産 

■愛知県産のサルボウ

スーパーで購入した愛知県産のサルボウ。
パックにはアカガイが1個体混入していた。

中海で養殖されたサルボウ

<養殖個体> <殻長30.3mm> 2017.12.20. 島根県/松江市/八束町/中海産 

■中海で養殖されたサルボウ

中海漁協で2013年から試みられている中海産養殖サルボウ。

サルボウの血液

<養殖個体> 2017.12.20. 島根県/松江市/八束町/中海産 

■サルボウの血液

サルボウの血液は、まるで人の血の様に真っ赤。
人間の血液に含まれているヘモグロビンではなく、エリスロクルオリンという物質による色なのだが、酸化鉄由来で赤く発色している。

口あけのサルボウ

<養殖個体> 2017.12.20. 島根県/松江市/八束町/中海産 

■口あけのサルボウ

通常、口を開けた二枚貝は鮮度が悪いという印象を受ける。しかしサルボウは水から上げると写真の様に殻を開けている事が多い。
口を開けていても必ずしも鮮度が悪いということにはならない。鮮度がよいと、刺激を受けたときにキュっと元気よく殻を閉じる。

幻の中海産天然サルボウ

2005.4.6. 島根県/松江市/中海産 

■幻の中海産天然サルボウ

今ではまず見る事の出来ない、幻の中海産天然サルボウ。
いつか養殖ではなく、サルボウが自然とたくさん湧いてくるような湖に戻したい。

中海で養殖されたサルボウ

<養殖個体> 2017.12.20. 島根県/松江市/八束町/中海産 

■中海で養殖されたサルボウ

中海産養殖サルボウ。

有明海産のサルボウ

購入 2011.5.8. 有明海産 

■有明海産のサルボウ

スーパーで購入した有明海産のサルボウ。

岡山県産のサルボウ

購入 2011.5.8. 有明海産 

■岡山県産のサルボウ

スーパーで購入した岡山県産のサルボウ。
松江市のスーパーでは有明海に並び最もよくみられる産地のひとつ。

愛知県産のサルボウ

購入 2014.12.3. 愛知県産 

■愛知県産のサルボウ

スーパーで購入した愛知県産のサルボウ。

サルボウの煮付け

<養殖個体> 2017.12.20. 島根県/松江市/八束町/中海産 

■サルボウの煮付け

松江地方の伝統料理、サルボウの煮付け。
醤油、酒、砂糖で甘辛く味付けたサルボウは箸が止まらなくなるほど美味しい。

サルボウを漁獲するための桁曳き網

2006.11.30. 島根県/松江市/八束町 

■サルボウを漁獲するための桁曳き網

中海でかつて使用されていた、サルボウを漁獲するための桁曳き網。
筆者に船の操船方法や係留方法、ロープの結び方などを叩き込んでくださった恩師、中海の漁師さんが所有していたもの。
そりこ舟と呼ばれる舟を手で漕ぎ、この網を曳いてサルボウを漁獲していたそう。

 

写真提供

宍道湖と中海の魚たちボードゲーム
宍道湖と中海の魚たち
汽水湖中海に生きる生物たち
裏表紙,P170,171,179
P31

 

眼遊記

669 中海産 ~赤貝をいただく~
434 境港市 ~アカガイゲット!~
167 松江市 ~元山陰の味あかがい~

 

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